母の結婚生活は、戦いの歴史

老人ホームにいる認知症のボケ父から毎日かかってくる電話。
母が電話に出るのは2週間に1回ぐらいと決めたけれど、
実際はしつこさに根負けして、10日に1回ぐらいで母が出ているらしい。。。

この間の正月明けに母が電話に出た時、ボケ父は母に私の年齢を聞いてきた。

母はボケ父が間違いに気付くかどうか、わざと
「ティー子は35歳だよ」と違う年齢を教えた。(実際は40歳)

ボケ父は間違いに気付かず、私をまだ子供だと思っていて、35歳と聞いて絶句していた。
それから10日後ぐらいに、この間 母が電話に出たら、ボケ父はこの時の話を覚えていて
「とーちゃん、とーちゃんってヨチヨチ歩いていた娘が、もう35歳だなんて!
 俺も歳とったなーって、涙が出てくるよ! 大きくなったもんだな!」
と感慨深げに、母が電話に出るなりいきなり電話で言ってきたそうな。

 

母は、「35じゃないよ。本当は40歳だよ。」と訂正したらしいけれど、
ボケ父はそこはスルーしたと。
そしてあとは「じゃあね。」と電話を切ったそうな。
それだけ。今回は珍しく、「オレの金」の話は無かったと。

 

電話を切った後で母は、
「40年間、あいつは給料日の度に生活費を出し渋ってちょろまかそうとして、ただの一度も大人しく渡した事は無かった。それなのに、子供を育て上げた達成感はあるんだね。図々しい。」
と、しら~っと言いました。

 

そうなのです。
母と父、結婚40年の歴史は、生活費をめぐる戦いの歴史でした。




 

妻がいて、子供がいて、家を買ったにもかかわらず、
生活費を出したくないと毎月ゴネる父。

母は、私と家を守る為にいつも父と戦っていた。
生活費を出したがらない者、それは子育てと家庭を放棄するのと同じ。
というのが母の理論。もっともです。

ボケ父の一番の望みは、

在宅介護で好き放題に徘徊しまくって、
小便糞垂れ流して母と私に迷惑をかけまくる事だ。

だけど家族に協力しなかった者に、在宅介護の選択肢は無いのです。冗談じゃない!

 

ボケ父は、在宅介護じゃない事と、
我々が滅多に電話に出ないのが不満なのだろうけれど、

ボケても見捨てられないで、老人ホームに入れて毎月十何万もの入居費用を
払ってもらっているだけでも御の字だと思って欲しい。

 

ちなみに、私がボケ父を「とーちゃん」と慕っていたのは
本当に何も知らない赤ん坊の時だけ。
物心ついた時にはすでに、「ヤバイ奴」と認識していたからね。

 

は~、そんな昔話の為に、テレフォンカードを使わないで欲しい!

電話代節約しろよ! 
おめーに幾らかかって迷惑かけられてると思ってるんだ!

 

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